パーソナルツール
現在の場所: ホーム 書庫 FujiiM 精進料理とわたし
« 2017年 11月 »
11月
1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930
 

精進料理とわたし

作成者 admin 最終変更日時 2011年07月13日 11時35分

 genkou2

藤井 まり先生より頂いた原稿

 

 なぜ私が精進料理と関わるようになったかと申しますと,夫・藤井宗哲(平成18年他界)が十年余の禅修業の経験から精進料理の本を沢山書きました。その結果,本を読んだ方が料理を教えて欲しいということで,料理塾「禅味会」を25年程続けてきました.いつしか私もあちこちで料理を皆様と作ったり,講演をさせていたゞくようになりました.ここ数年は海外・パリやロンドン・ニューヨークなどへも行くことがあります。精進料理は仏教の“殺生をしない”という考えが基本にあります.平安時代には,「枕草子」に「精進物(そうじもの)いと悪しきを打ち食ひ」と粗末な食事ということで記されています。寺院では簡素な野菜料理がされていたようです.

 曹洞宗の開山・道元禅師が中国・(宋の時代)へ760年前に留学され,帰国後,禅道場での食のあり方・作法などのことを記されました。「典座(てんぞ)教訓」「赴粥飯法」の2冊です.典座とは寺の台所のことです.つまり日常茶飯のことを丁寧にすることが修行につながるということです.この書物があるが故に禅宗では食のあり方が,食文化として現在にきちっと伝わっています.高野山の高野豆腐が有名なように,真言宗や東大寺など各宗派にも精進料理があります.外のベジタリアン料理と違うのは「五葷(ごくん)」といって,ネギ・ニラ・ニンニク・玉葱・らっきょうなどの匂いの強い野菜は使いません.私は五月半ば四泊でサンフランシスコ禅センターに行きました.ここは日本の曹洞宗の鈴木 俊隆老師という方が作った禅の修業道場です.日本と違うのは,男性女性が共に修行できることです.ここのキッチンでカリフォルニア風精進料理を作る手伝いをしました.作る前に香をたき礼をします.日本の僧堂と同じでしょう.

 またいたゞく前には,夕食時,「五観文」というお経を唱えます.(日本では毎食前)

 この目の前の食事が多くの人の手を経ていることに感謝,また,自分がそれをいたゞく価値があるかを反省する・・・などという意味のお経です.日本の僧堂では話してはいけませんが,ここでは夕食の十分だけ沈黙です.

 黙ってものを食べると味がよくわかるような気がします.この禅センターは市内に「グリーンズ」というベジレストラン(人気の店)シェフは尼僧のアニーさん.郊外に「グリーンガルチ(緑の谷)」という農場,そして山の道場「タサハラ」を持っています.タサハラは市内から4時間程,上高地のような所で清流があり,温泉もあるので,忙しい人々がリトリートに来られたりします.コテージに電気をひかずロウソクの灯です.週末市内の禅センターには禅の入門クラスに来る人が60人以上でにぎやかです.それだけ禅を求める人達がいるということです.心静かな時間を作り心身落ち着く野菜料理に人気があります.

これはアメリカのみならずフランスなどで,料理をすると,茶道や座禅を永年してきた方と出会います.日本の伝統文化の良さを改めて感じます.

 

sado