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5周年記念 「SHIEN(支援)研究会」 総会・勉強会・ワークショップ レポート(服部 みれい様)

作成者 admin 最終変更日時 2011年02月15日 17時21分

SHIEN研かわら版第3号でご案内しておりました,murmur magazine編集長の服部みれい様による5周年記念 「SHIEN(支援)研究会」 総会・勉強会・ワークショップ レポートの全文です.

イベントの種類
日時 2010年03月27日
開始: 01:00 pm 終了: 06:00 pm
場所 銀座「吉水」
連絡先名称 銀座吉水
連絡先電話番号 03-3248-4432
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「支援研究会」

総会・勉強会・ワークショップ レポート

2010年3 月 27 日

 

soukai00@銀座「吉水」かくえホール



 桜がほんの少し開きはじめた3月末の午後。ゆったりとした春の気配を感じながら、「支援研究会」の総会、そして勉強会とワークショップに参加してきました。場所は、スーパー・ユニーク&骨太な女将・中川誼美さんのいる銀座「吉水」。部屋のすみずみにいたるまで、環境やひとのからだに配慮された旅館のホールに、約30人の会員たちが集まり、なごやかなムードで会がはじまりました。

 

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支援研究会 主宰の舘岡 康雄先生あいさつ(SHIEN研究会 総会にて)

 最初は、総会です。事業報告、収支報告、事業計画や予算案……なんて目次を見ていると「あくびが出そう!」なんて思いますが、ここは「支援研」。幹事メンバーの伊藤秀典さん、渡辺茂一郎さん、中嶋隆さん、サポートメンバーの太田諭之さん、そして、主宰の舘岡康雄さんらのお話のうまいこと! ただ、ぼぅっと報告を聴いているのではなくて1分で「支援研に期待すること」をひとりひとりが書き出してみたり、わいわいと他己紹介があったり、ワークショップさながらのムードでお話が続いていきます。

会社、学校、各種会議など、ついつい「つまんないのがあたりまえ」なんて思ってしまいそうな内容も、ちょっとした工夫で、聴く側も能動的に参加したり、わくわくしたり、さらに自分の考えを広げたりする、かつ、開催する側もただ報告するだけではない、さらに会から得られるものがある、そういう濃密な会にしあげることができるんだなと、感じました。

そう、その「ちょっとした工夫」というのが、「支援=SHIEN」のマインドということと関係していると思うのですが……ここで、あらためて、この研究会のメインテーマである「支援=SHIEN」について、振り返ると……


「SHIEN」とは、

従来の重なりのなかったところに重なり(相互浸透過程)を創って、

「してもらう/してあげる」を交換することである。

従来の「支援」と区別し、舘岡の「SHIEN」とする。

(総会レジュメ/舘岡2008「支援研究の本質と未来;パラダイムシフトの視点から」

『経営システム』(社)日本経営工学会、第18巻、第3号、PP121-128より)


ということなのです。

 この会は、すみずみまで、「支援=SHIEN」の考えが、メインのメロディをなめらかにささえる静かなベース(ピアノでいえば主に左手)の旋律となっている。もしくは、その旋律を響かせようと、メンバーが働きかけていることがよくわかります。

 そして毎回のことながら、舘岡先生のパラダイムシフトの説明「リザルトパラダイム(計画と通りに/従来の方法を踏襲して成功に導く)→プロセスパラダイム(計画はどんどん変更していく/双方向で同時に動きながらより大きく豊かな結果をもたらす/ウォルマートの発注・生産システムはこのパラダイムになっているとか)→コーズパラダイム(完全なシンクロニシティ/未来から答えがやってくる)には胸がドキドキいたしました!

それを元にした中・長期計画のお話に胸を躍らせながら、次に、「支援研究会」の中で、もっとも活発に活動をしている「心理チーム」からの、具体的な活動の報告です。

 

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心理研チーム 岡野 洋美さんの発表

 報告のテーマはずばり「つながりから支援マインドへ――人はなぜ支援するのか」です。大学で教えていらっしゃる池田玲子さん、舘岡洋子さん、金孝郷さんらが、とてもわかりやすく、説明をしてくれました。

 人は、なぜ支援するのか(!!)。これを真剣に考えるって、本当におもしろいなと思います。「よいこと」とされることって、なかなか議論したりするのがむずかしいのではないかと思うのです。そこを、専門家たちが、一生懸命語り合ってるのって、実にユニークだし、あたらしい時代になってきているのだなって思います(確かに参加した方からは、「支援のことを伝えると、どこか、もやもやしてしまうところがある。何か横柄な、“こちらがしてあげてるんだぞ”という態度を想起してしまう」というような声もありました。そこを、「支援研」は、さまざまな議論をしながら凌駕していこうとしているのです)。


 発表のなかでもっとも熱いと感じたのは、「支援マインド」のお話です。


A) 施す、与える/強い→弱い/できる→できない/高い→低い 「+αの支援」

B) 自分が存在することは他者あってこそ、他者を通してのみ自分の存在が確認できる→存在と一体である支援/ともに存在する、喜ぶ 「一体の支援」


のふたつがある、ということでした。

 でも、A)だと、「大きなお世話よ!」とか、「あのとき支援したじゃない」なんて、見返りの期待をもってしまう(先払いの支援行為)。これだと不満がでてしまうというのです。一方向的な支援、だからです。


 一方B)のマインドだと、同時的、双方向的な支援になるというお話でした。

 たとえば、「教えることは教えられること」「子どもを育てることは親にさせてもらうこと」とは、誰もが感じるところだと思います。発表者の舘岡洋子さんも、学生に何かを教えているときに、学生が「わかった!」となった瞬間、「教えてあげる」というレベルではなく、えもいわれぬ一体感がるのだと説明してくれました(なんか、わかります!)。

 とはいいつつも、「なぜ人は支援するのか」というテーマへのはっきりとした帰結はまだない、手探り状態ということでしたが、この「同時的・双方向的」なところに、とにかくとても大きなヒントがあると感じました。

 その後、アブラハム・マズロー(人間の欲求の階層(マズローの欲求のピラミッド)で知られるアメリカの心理学者)、ダグラス・マクレガー(著書『企業の人間的側面』で、統合と自己統制による経営手法を提唱したアメリカの心理学者・経営学者)、アーヴィング・ゴッフマン(相互行為研究で知られるアメリカの社会学者)、ブーバー(間人間の研究をしたユダヤ人哲学者)といった研究者たちの研究から、「他者との関係性の中での自己実現を探る」ということにまつわる発表、さらには、金孝郷さんが日本で出合って感動したある先輩研究者の方の問題解決のお話なども、とてもユニークなものでした。

 

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SHIEN研究会 ワークショップのようす

 最後は、「支援研」の目玉!! ワークショップです。

上記の発表を行った、大学で日本語教師などを行う女性の研究者(美女ぞろい!)がたくさんいる「心理チーム」、同じく大学で教え、「学び」ということにコミットしているやわらかなムードいっぱいの方々による「学びチーム」、さらには、ビジネスの分野で活躍する新進気鋭の男性たちが集う「ビジネスチーム」、そして3つから漏れてしまった奇人(失礼! もとい貴人)の集まる「いのちと愛てぃ(IT)チーム」に分かれてのワークショップが開催されました。

 このあたりまでくるとわたし自身もすっかりワークショップにはまりこんでしまって、自分の内側にアイデアが湧いて湧いてしかたがなくなってしまい、舘岡康雄さん・太田諭之さんに頼まれたこのレポートもそっちのけで、会に集中するしまつ。メモすらなく、ただただ没頭して楽しんでしまったことをご報告します。ぜひぜひ、このワークショップには、参加されたことのないかたは、体験してみていただきたいなと思います。

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「吉水」にて振舞われた”からだにやさしい”お料理

 そうそう、この日の開催場所だった「吉水」の女将・中川誼美さんは、「いのちと愛てぃチーム」にいて、ユニークなお話をたくさん聴かせてくれたのですが、中川さんはエコだのオーガニックだのカタカナ語ではなくて「ちょっと前の日本・暮らし」という話を盛んにしていて、それがとても興味深かったです。

 実はこの日、舘岡康雄さんも、『逝きし世の面影』(渡辺京二=著 平凡社ライブラリー=刊)という本(明治時代に日本に訪れた異邦人たちが残した膨大な文献を紹介しながら、近代化する日本が失ってきたものの意味を問う、本当ーーーーーにおもしろい一冊)について折に触れてお話ししていましたが、この日の会で根底に流れていたベースの旋律はもちろん、「SHIEN」のスピリットだったと思いますが、もうひとつ、この「ちょっと前の日本」の味がそこはかとなく香っていたような気がします。


 「支援研」は参加すると誰もが、「ああ、やわらかいムードだな」、「やさしい気持ちになるな」「自分もかかわっているなあ」と感じる人が多いのだそうです(実際そうです)。それは、「ちょっと前の日本の感覚」と関係があるのではないでしょうか。そこも今後、もっと知りたいなと思いました。

 そして何より! 「支援研」に参加すると、自分自身の次の活動への大きなヒントの源泉となるエネルギーをもらえるような気がします。ただその日に何かをやっておしまい、じゃない「支援研」。縦軸、横軸、ななめ軸、もっと深い軸と、たくさんの軸が、自分のなかに生まれて、そのここちのよいこと! もちろん、ここちよい部分だけでなく、反対意見なども含めた、さまざまな議論がこれから始まっていくのだと思います。

 はっきりとした答えが見つかったわけではありませんが、でも、こころの中に、はっきりと小さな桜がほのかに花開いたのを感じました。その花を、さらに、自分の持ち場で発揮していけたらなと熱く思いながら、「吉水」をゆったりとした足取りであとにしました。


服部みれい(フリー編集者/murmur magazine編集長)

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